性悪説という立場も必要

独立とか企業とかよりもまず金持ちになりたいという人はたいていロバート・キヨサキの「金持ち父さん貧乏父さん」を読んでいる。
金持ちになりたいという動機はよく分かるし正しいと思う。そのために不労働所得で生活費をまかなえば良いという考えも間違ってはいない。著者はそのために最適なのはネットワークビジネスであると力説している。
ネットワークビジネス、人脈でもって商品の紹介と販売を行うビジネス形態。ようはアムウェイって言っちゃえばほとんどの人が分かるんだろうけど金持ち父さん信者(もはや信仰に近い)はネットワークビジネスに偏見を持ってはいけない、正しく理解するんだと力説する。
販売者が商品の販売や販売者の勧誘を行い、上位販売者は下位販売者の利益の一部をマージンとして受け取る。無限ではなく5段階下位までとかの制限があるために全ての販売者に公平で中間の卸や広告費がない分安く売れるという理論。
冗談じゃない、上位5段階で5%のマージンをとられただけで商品価格の25%が飛んでいる。ネットで自社HPを作って広告をしたほうが安く売れるじゃないか。
このビジネスは売る以前に自己消費という形で製品を自分で買わなくてはいけない。つまり販売者になる前に消費者にならなくてはいけない。
アメリカで生まれたこのビジネス、アメリカなら広い国土で買い物行くにも車が必要って感じの部分が多いから定期的に生活用品を届けてくれるこのビジネスは成功したのだろう。しかし日本は事情が違う。狭い国土に溢れんばかりのものが溢れかえっている。
ネットワークビジネスにも品質・効果的に優れた商品が存在するのは確かだ。しかし日本では消費者に対してネットワークビジネスという形態に対してのマイナス評価のバイアスが大きい。アムウェイが多数の被害者を出した上に政治力を使ってそれを封じ込めようとした事件の後遺症といえる。

それを踏まえてロバート・キヨサキの力説を斜に構えて考えれば、氏はネットワークビジネスの利用者を増やし、引いては自分の行うネットワークビジネスの利用者を増やすことで利益を生み出そうと考えたのではないかと考えられる。氏は富裕層同士のネットワークが富裕層を生むと話していた。そのネットワークに存在する人が全て何かのネットワークビジネスの上位に居る場合、ネットワークビジネスの裾野の広がりは膨大な利益となってそのピラミッドの頂点に至ることになる。

商品の素晴らしさを説いて消費者を勧誘するのではなく、システムの素晴らしさを説いて販売者(兼消費者)を勧誘する。それが氏の書いた本の最大の目的なのではないか…と。